空家の売却とホームスタイリングの2つの効果

ホームステージング後の物件

住まい探しをしているお客様から見ると、空き家物件とホームステージングされた物件では、ホームステージングされた物件の方がはるかに魅力的に映ります。

ホームステージングは空家の販売において2つの重要効果があります。
一つは、そこで生活する具体的なイメージを作る効果、もう一つは物件の些細なデメリットから意識をそらす効果です。

ここで、まず家を買うお客様は何を買いにきているのかについてご説明いたします。

当然家を買いに来ているのですが、実際は家を所有すること自体が目的ではありません。
家を探しているお客様は「家を買う」のではなく、「家を買うことで得られるものを買う」のです。
例えば、駅にとにかく近い家を探している顧客は、通勤の利便性を求め、時間を買いに来ています。
他には、ゴージャスな物件を購入する顧客は、暮らしではなく、他人に見せたいステータスを買いに来ています。
例えば、ステータスを購入する顧客に対する競合製品は高級外車かもしれませんし、高級バッグや衣服かもしれません。
 その物件ごとに当然、ターゲット顧客は異なります。一般的な30坪の建物、ファミリー向けという物件であれば、今よりものびのびと、多少おしゃれに、家族で団らん出来て、テレワークで仕事もしやすく、ローンの支払も程々、というようなバランスの取れた家庭生活を希望されていることが多く、そのためには、購入希望者にそういった暮らしをイメージさせることが、購入に直結します。

ホームステージング前
ホームステージング後の物件
ホームステージング後

1.生活の具体的なイメージを作る

何もない家を見たときに、そこでの生活イメージ、家具配置が想像できる方は10%程度と言われています。よほど普段から不動産の空間コーディネートや家具についての知識がないと、このリビングに家族で使えるソファやテーブル・家電製品を置いて空間がどのようになるのか、生活導線は大丈夫かなど、なかなか正確に想像することは出来ません。
ここでホームステージングが一つ目の効果を発揮します。
例えば、狭いと思われる空間でも家具の種類、色の組み合わせ、置き方などを工夫することで、十分ゆったりと暮らせるという提案ができます。

2.物件の些細な欠点から注意をそらす

ホームステージングされていない物件の場合、購入希望者は生活のイメージができないため、細々とした住宅のデメリットに目を向けがちです。例えばサッシが汚れているとか、床に傷があるとか、クロスが破れているとかなどです。ただ実際に家具や家電を入れて生活し始めると、そういった箇所はほとんど気にしなくなります。

しかし物件を見学するときは空き家の状態ですから、そういうところが実際以上に目立って見えてしまい、購入を躊躇したり、大きな値段交渉をされたりということになりやすいのです。
購入希望者は物件に入って最初の数十秒である程度購入意思を決めると言われています。その数十秒の間に、暮らし方ではなく、細かな物件のマイナス面が目に入ってしまうと、それ以降はもう物件の魅力をいくらアピールしても購入者の気持ちは戻ってきません。ですから、販売前にしっかりと準備をし、魅力をしっかりと引き出してから市場に物件を出すことが大切です。
ホームステージングを実施することで、購入希望者に生活イメージに目をむけてもらうことによって、些細なデメリットに意識を向けすぎないようにしてもらうことができるということです。

ホームステージングの注意点

 それでは実際にホームステージングを行う時の注意点について簡単にご説明いたします。
まずは売却する家を”商品”という意識をもって、商品をいかに魅力的にするかをしっかり考えてください。

1.物件はしっかりと清掃し、清掃だけで十分にきれいにならない場合は、多少の手直しも行う。
すべての設備を交換したり、大規模にリフォームを行ってから販売できる売主は少数でしょう。そこまではなかなか難しいと思いますが、最低限庭の手入れ、室内の清掃を行います。残置物が残っている売却物件をよく見かけますが、そういう状態で販売することは絶対に避けましょう。清掃はできれば、専門の清掃業者に依頼したほうがきれいになります。またカビが出て汚くなってしまっているクロスの箇所などは部分的に張替を行うのも手です。
部分的であれば、広さによりますが、数万円程度で収まることもありますし、クリーニングと合わせても20-30万程度であれば、十分投資する意味があります。

2.ホームステージングを行う
家具や小物で空間のコーディネートを行います。ただし注意点は、物件を商品として魅力的に仕上げるためのコーディネートであって、通常のインテリアが主役のコーディネートとホームステージングは似て非なるものであるということです。ご自身の趣味や好きな色、好きなアイテムをただ使っていいわけではありません。またアイテム数が少なすぎたり多すぎたりする場合もあります。購入希望者が安心して見られるように、物件を主役としてコーディネートします。

具体的なホームステージングの方法は別記事で書いていきますが、上記がしっかりとできている物件を不動産仲介会社が綺麗に写真撮影しネットに掲載すれば、 PVといわれる購入希望者の閲覧数は、何もしていない物件に比較して各段にUPします。
ホームステージングを実施する際に、当社のような専門会社に依頼される場合は、販売を担当する仲介会社とそのホームステージングの会社でよく打合せをしてもらい、ターゲット設定、内容、販売金額設定などの販売戦略を練ることをお勧めいたします。